ArtModel.Info連載企画

    Profiling Artists  第2回 「福地孝宏」さん    

ArtModel.Info連載企画「Profiling Artists」2回目の登場は名古屋在住で、
ご自身も「クロッキーF」というクロッキー会を主催されている「福地孝宏」さん。
第1回の「Sanoma」氏からのご紹介である。

福地氏の表現の手段は幅広く、氏の運営するサイト「The Page of TAKA」を拝見したときも、
「すごく趣味の幅広い、明るい方だなぁ〜」と簡単に思っていた。
しかし、それは取材の中でお話を伺ううちに、というよりも福地氏に一目お会いしたときから、
いろんな意味で私の認識が間違っていたことに気づかされることになる。

そして、初めて体験する「名古屋イズム」。
取材の過程で「クロッキーF」へ参加、その後の2次会にも参加、
いろんな方とお話もでき、名古屋の空気を存分に満喫させていただいた。

この記事には福地さんご自身が書いてくださった、取材感想・追記が掲載されているページへのリンクがあります。
記事の一番下をクリックしてご覧ください。

2005年2月21日、福地さんの「基地」の画像を追加しました。
+ 福地氏略歴+
(The Page of TAKA
より一部抜粋)
* 人生の選択を迫られ
 「写真家」を目指す。
* なのに「理科」の先生に  なってしまう。
* 急性A型肝炎で今度は
 「画家」を目指す。
* インターネットを知り
 上記の全てが表現できる場を見つけ、喜ぶ。
* 2005年年始にイランに行き、そこでの写真をみたArtModel,Info 管理人に
くやしがられる。
 
* 「クロッキーF」10週年。
 これからもやりたいこと
 一杯。















































































































































































































2台のカメラで撮り合いこした。
ややおちゃめな福地氏。







































このページに掲載されている作品の著作権は
福地氏に、
資料以外の記事、写真は
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お願い致します。

 この記事のご感想は
 こちらから













「写真からクロッキーへ」

福地氏に初めてお会いした時の私の印象は
「お若い!そして怖いー!」である。(失礼!)
取材中、ほとんど笑わない!
福地氏のホームページでは、美術関連以外に、
世界中を回った「旅行記」もあり、そこではご本人が満面の笑みで笑っているのに。

おかしい、、、、(泣)

眼光も鋭く、見られることに慣れているはずの私でも既にビクビク・モード。。。
能天気な両親の手厚い保護の中、蝶よ花よと育てられた(つもり)の私には、
妙に心拍数のピッチの上がる取材のスタートとなってしまった。

   福地氏が始めて、モデルで「人体」を描いたのは27歳の時。
   クロッキー会の主催をされておられるにしては、意外と遅い・・?
   と思ったけれども、実はこれには色々と事情があったのだ。

23歳から本格的に「写真」を撮り始め
27歳の時に患った「A型肝炎」闘病後から「描く」ようになった。

中学生のころに少しだけ興味もあった。
実は写真にもやや行き詰まっていた。
自分の表現方法として「写真」はふさわしくない!と判断し、画家を志すことにした。

「文化センター」で絵を習い、
個人的にモデルを使ったのはその半年後。早い!
このフットワークの軽さは一体どこからくるのだろう!


-------写真と絵の表現について違いを感じられましたか?
「ない!全然変わらないと思った。」

そんなことは無い。
と思われる方もいるだろう。

だが、福地氏の全取材を通して福地氏の「表現」というものについて
考えに考えた結果、私には少し理解できたかも、、。
「表現するということ」

福地氏へのインタビューの録音を何度も聞きなおしていると、
福地氏が「表現」という言葉をよく使っているのに気がついた。
氏は、「美術」とか「芸術」といった言葉は、
結局インタビュー中一言も発することはなかった。
人体制作を選んだ理由としても、「描くのが好き」とかではない。


表現。
おもて・あらわす。


この記事の執筆中、少々私が取り憑かれた言葉である。
この人は、一体なにを表現したいのだろう?

「自分とモデルっていう風に、分けへだてしないから。
 自分を投影っていうよりも、もっと直接的。
 その中にある、自分の一部を描いているつもり。
 所詮、作品なんていうのは全て自画像だと思ってる。」

質問への回答も、シンプルかつ短い。
澱み無く、なるべく簡潔な一言で答えようとする。
思いがけない質問にも、考えながらも「言い直す」ということはしない。
自信家とは違う、常に悩み模索しながらも、
その中で、今現在の自分の気持ちや考えを
きちんと客観的にみてダイレクトに言葉にすることのできる人だ。

福地氏のホームページを見ると、
クロッキー以外にも、自分の仕事の事、
最近復活した写真、旅行記、そしていろんな事への自分の思いも沢山コメントしている。
まさに、「The Page of TAKA」!

そうかぁ。
この人は「描きたい」でも「写真が撮りたい」でもない。
自分そのものを表に現したいんだー!

「そして困り事」

気を取り直して、美術モデルについての質問。

-------印象に残っているモデルさんは?
「非常に熟練したプロ意識の高いモデルっていうのは、
 自分が描き手にどう観えてるかを正確に計算できるから、
 ポーズをピシッ!って描き手の方に合わせられる。
 だから、20人くらいで描いてても
 ああ、今あの人に合わせてるなー、っていうのがはっきりわかる。
 あれは、焦点がみえてて面白いね!」

  
という反面、実はその標準が福地さんご自身に合わせられことが多く、
それが「困り事」の一つだそうである。

お話を伺う録音取材はここで一旦終了。
続いて開かれる「クロッキーF」に、バタバタとモデルとして参加をした。


モデルさんの好みは あえていうなら、「個性的な人」。
 良くも、悪くも個性的な人が好みだと言う。
 ダンスをしている人でも、決めのポーズはかっこいいけど、
 どうしてもパターン化されてしまうから逆につまらないことも。
「持って行かれる、、、!」

これはモデルとしての私の率直な感想である。

美術モデルというのは、現場に応じて、
ポーズの構成や内容、見せ方や雰囲気まで臨機応変に変えられなくてはいけない。

美術モデルと作家だけの1対1の場合には、
「精神的に同調」したり「空気を合わせたり」することで
作家の思うようなものが仕上がるように、作家と心をシンクロさせる。
だが、参加者の複数いる会では、
「熟練者」もいれば「まだ、描くことに慣れない」人もいる。
全ての人になるべく均等に「その人が描きたいと思うであろう、良い側面」を見せなくてはいけないのだ。
参加する人達はそれぞれ「表現したいもの」が違うわけだから、
一人一人に配慮して、ポーズをとらなくてはいけないのである。

だから「モデルさんに標準を合わせられて困る」という先の福地氏のコメントは納得。
クロッキー主催者ならではのコメントだし、もっともなご意見だ。
これについては気をつけるように、
いつもより強くこころがけてモデルとして「クロッキーF」の会に挑んだ。
福地氏はモデルがポーズをとるスペースから、正面やや右に位置を決めた。

「よろしくお願いします!」

ポーズは2分、3分と短いものが多い。
美術モデルとして、ポーズの決定判断力、全ての流れの構成力、
そして、経験を問われるタイムスケジュールである。
ポーズは即座に決めなくてはいけない。
そして限られた時間の中、一回勝負である。


一ポーズ目から「なるほど!こういうことかー!」と、福地氏の言っていた「困り事」について理解した。
描き手とモデルの間では、精神力の強い方がポーズに与える影響も強い。
比較的いつもよりも描き手とモデルの位置が近いせいか、
福地氏の「何かをとらえようとする」気力は、ビシビシ痛いくらいに伝わってくる。
横を向こうが、後ろを向こうが関係ない。
体はよそを向いていても、意識が無理やり福地氏の方に向かされるのだ!

もう、こうなったら『戦い』である(笑)。




「モデルにアピールをされたくない。」とおしゃる福地氏だが、
それはモデルが意識しているのではなく、
とてつもなく強い福地氏の精神力に、モデルが「持っていかれている」のだと思った。
もっと、判り易く表現すると「精神を乗っ取られる」ような感覚。

福地氏は用意したA3、B2、B1などの大きなを床に置き、
半分乗るような形でクロッキーを取っていく。
すぐには描き始めず、モデルのポースをよく見て、
気合の入った瞬間に紙も破れんばかりの勢いで、一気にペンを走らせる。
見ていたわけではない。
気合を溜めているのも、発しているのも、集中しているのも、
全部モデルに伝わってくるのだ。

少しでも気を抜くとプロモデルとして、たくさんの描き手のいるこの状況では「負け」である。

「取材中はビクビクしてても、ポーズ中は負けないぞー!」

と、がんばったら、
終わった時には体力的な疲労より、精神的なものからの開放の方がはるかに感じられてしまった。
    

画材についてはいろいろ工夫をされていると感心したのだが、
福地氏曰く、「まだまだ全然駄目ー!表現するにはもっと突き詰めないと。」
理想の画材は『手に触れたとおりに吸着する画材。』
「これから先は?」

1996年夏。
福地氏、ペルー旅行での出来事。
現地でいろんな国の人とお酒を酌み交わし、旅路を同じくする機会があった。
みんなEメールとか、コンピューターとかやっていることを知って、
やってない自分がちょっと恥ずかしくなった。

パソコンも買った。ホームページも立ち上げてみた。
「これは、自分の表現手段としてものすごく優れている!」
と始まったホームページ、「The Page of TAKA」。
同時期にスタートした、氏の主宰する「クロッキーF」。
どちらももうすぐ10周年を迎える。
今一番力を入れたい、おそらく一生変わらない「自分表現の場」だという。

「人体はもっとも身近な自然だしね、表現するのに一番適しているよ。」

    「モデルさんを描く」のではなく「自分を描く」。

おもいがけず「作家と精神的なバトルをする」という貴重な体験をした私には、
あの、強烈な影響力と自分を表現をしたいという気持ちから、
自分自身のやっていることを客観的に見たら、
福地氏にとって自分のやっていることは、
「自分を描いている」=「表現している」という、結論に達したのではないかと感じた。

「ごはんを食べて、勉強しよう!」


----------これからのモデルさんに求めることは?

「モデルさん自身にもっと勉強してほしい。
 基本的なポーズはもちろん、いろんな経験を積んで
 もっとポーズのパリエーションを増やして欲しい、
 とにかく勉強しよう!」


ここまでの経緯を考えて、福地氏からこの発言が出るということは、
美術モデルの持っている表現の「引き出し」よりも、
福地氏の持っている表現のボキャブラリーの方が大きいということだ。

駄目だ!こんなこっちゃ!
次はこの辺も含めて負けないぞー!

一度は断念しかけた、ご自分の「アトリエ」を持つという夢も、
がんばってもうすぐ叶いそう!すごいです!がんばって!
ここでの制作活動の内容は、まだまだ検討中ということだが、
氏の「自己表現」の拠点となるのは間違いないだろう。

最近また復活した写真にしても、クロッキーにしても、
旅行にしても、始めたばかりのテニスにしても、
とにかく、留まることを知らないフットワークの軽い元気一杯の福地氏である。

---福地さん!美術モデルさん達になにかメッセージください!

ちゃんとごはん食べてきて!
 体力的にもそうだけど、モデルさんは精神的にも元気でいてくれないとね!
 モデルさんにはそれが一番。」
  


美術モデルのみなさん。
沢山食べて、いっぱい学んで、楽しいことして、元気に笑顔でいきましょうね!
そして負けないぞー!(←しつこい)



取材を終えて。

地方取材、クロッキー会前ということもあり、取材時間は決して多くはなかった。
しかし、録音素材を何度も聞きいては止めしているうちに、
「The page of TAKA」に掲載されている福地氏のコメントを何度も読み返していくうちに
それでよかったのではないかと思うようになった。
記事を執筆するにあたって、材料が大いに越したことはない。
だが、氏に関しては大いに語っていただくよりも、
おそらく「表現として伝えたい」ことは、ご本人の最大限を駆使して
「The Page of TAKA」に凝縮されている。

「今はね、サイトの運営を手伝ってくれるアシスタントが欲しいんですよ!
 もう、手一杯!やりたいこと一杯!」

福地さん、「クロッキーF」のみなさん。
どうもお世話になりました!また行きます!

最近の福地氏のサイトのクロッキーページでは、
美術モデルの名前に自然の草花がよく使われていることに気がついた。
「たんぽぽ」「薔薇」そして「四季」、、、、。
おそらく掲載に当たって匿名を希望したモデルさんへ
福地さんが考えてつけてくれたものであろう。
作品に対するコメントも短め、言い方もやっぱりシンプル。
でも、こんなところに福地氏の美術モデルへの思いを見た様な気がして、
うれしくなってちょっと気持ちがやわらかくなってきた。
                             2005年1月30日    記事執筆NATU
   
この記事には福地さんご自身が書いてくださった、
取材の感想・追記が掲載されている
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2005年2月21日追加しました。
特別にお願いして撮影していただいた福地さんの「基地」です。
クリックすると大きな画像になりますので、大画面にて作家部屋の臨場感をお楽しみください。


”記事情報
* 福地氏の運営する「The Page of TAKA」はこちら。
「The Page of TAKA」http://home.ons.ne.jp/~taka1997/index.html
【ProfilingArtists 】

第1回 「sanoma」さん
第2回 「福地孝宏」さん
第3回 「すず」さん
第4回 「クリスティン」さん


次回の「Profiling Artists」第3回は女流作家の「すず」さんです。(2005年2月末にアップ予定!)

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