ArtModel.Info連載企画

    Profiling Artists  第4回 「クリスティン・ニュートン」さん  

ArtModel.Info連載取材企画「Profiling Artists」。
第4回目の登場はステンドグラスのアーティストとして世界中で活躍をされ、
現在は、日本で独自のアート活動をされている「クリスティン・ニュートン(kristin-newton)」さん。

絵を描く楽しみを知り、物を見る視覚を養い、創る喜びを発見する。
芸術野である右脳を生かしたアートセンター
『RBR』のクリエイティブ・ディレクターでもある。

アメリカ・フランス・香港での活動を通して、たくさんの海外の美術モデルさんを見てこられた
クリスティンさんに、海外の美術モデルさんのこと、そして日本のアートの環境について
とても刺激的なお話を伺うことができた。
      English version
+kristin先生略歴+
* カルフォルニア大学
(美術専攻)をでる。
* 美術家交換プログラムで日本へ。ステンドグラスの講師を幅広く手掛ける。
* アメリカ・香港・フランス・
日本など、世界を又に駆けて活躍。
* 右脳によるドローイング
教育をワークショップに取り入れる。
* 日本でRBRを設立。
クリエイティブ・ディレクター
として活動中。















































































































































5日間のワークショップを終えた
生徒さんの作品。


































































































































このページに掲載されている作品の著作権は
kristin-newton氏に、
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 この記事のご感想は
 こちらから

「生きているものを描くのは好きです。」

数ヶ月前、クリスティン先生は軽い事故で
腰周りを少し痛めておられた.

でも、取材の日にはすっかりお元気そう!
再会の喜びと同時に
「治ったの!?よかったですね〜。」と
お互いが元気に活動できていることを確認できた。

クリスティン先生の最大の魅力は、
いつも不思議な安心感を与えてくれるところ。
笑顔を絶やさずに、独特のゆっくりとしたしゃべり方で
相手を決して緊張させない。
年上の方というのをつい忘れてしまうくらい、
実にフレンドリーな方なのである。
「描きはじめを覚えているのは5歳くらいから。 いつも人の顔とか鳥とか、生き物を描いてました。
今でも興味が沸くのは、人とか人の顔だったり。
生きているものは好きですねぇ。」

でも実は、人間を描くことにはあまり自信がなかったのだとか。

カルフォルニアの大学では彫刻と写真、
そしてドローイングと幅広くアートを学んだ。

1980年、「美術家交換プログラム」で来日。
2003年まではステンドグラスのプロフェッショナルスクールや
教室や大きなイベントでの講師を務める。

自身のステンドグラス作品制作、
又、現在携わっている「右脳教育」のために、
世界を飛び回っているクリスティン先生だか、
もう、20年以上も日本と関わっていることになる。

世界でたくさんのものを見てきた方のお話を聞くのはとても楽しい。
これがまた、自分の仕事に関することとあればなおさらである。
クリスティン先生が、日本にこだわって、
そして日本で育んで行きたいと思っているものはなんであろうか。
「影を描く・空間だけを描く」

美術モデルとは 絵画教室や学校でただ言われたポーズを取って
じっとすましているだけの仕事ではない。

「制作時間」という空気を乱さないように、立ち振る舞いや発言に気をつけることはもちろん、
生徒さんに対する先生方の指導内容にもきちんと耳を傾けて、
先生が意図する「教えるに適したポーズとは何か」をその場で理解しなくてはいけない。
スムーズに授業が進行できるように、
モデルも先生の良き協力者であるべきなのだと私は考えている。



クリスティン先生の右脳によるドローイングの授業でのワンシーン。

「次のポーズではモデルさんの体の中の影だけ描いてください。」

そこで、モデルがするポーズは何であろう。
当然「体だけを使って体の中で影が表れるポーズ」を考える。

「じゃあ、次は空間・隙間だけを描いて。」
モデルも「体にある空間・体で表現できる隙間」を意識する。

この瞬間、指導を受けたのは生徒さんだけでは無い。
モデルは人間であるがゆえの人間らしさを損なわないように、
かつ、人間にできる「影と空間」の限界について頭をフル活動させて考える。

私の中にある「影」とは?
私が居る事で表現できる「空間・隙間」とは?

このレッスン内でのクリスティン先生の発言を聞くだけで、
如何に意思の通じる、生きている人間のモデルを
クリスティン先生が必要としているのかが理解できる。
「影」や「空間」を作るためにモデルは、腰を屈めたり、体をひねったり、
いろんな工夫をしてポーズを取るわけだが、それに付随してできる、
筋肉の収縮、体の皺などは、人それぞれ、しかも同じものは二度と無いのである。

「人だから出来ること」
「生きている人でないと出来ないこと」

ここは、美術モデルという仕事の意義が、モデル自身にもはっきりと鮮明に見えてくる場所なのだ。



「RBR」生徒さんの作品。
(クリックで大きな画像が開きます。)
----------好みのモデルさんは?

「仕事が好きそうに見えないモデルさんはつまらないですね。
体型が格好よくっても生徒さんからの人気も無いです。ポーズも硬い。
一生懸命やってくれるモデルさんは、
疲れてポーズ中に寝てしまっててもおもしろいです(笑)」

「うちは普通の学校とはぜんぜん違うとよく言われます。
みんなモデルさんに対してコミュニケーションをとりたがります。
それは何故かというと、モデルさんのポーズや体よりも、
人間として、生きているものとして見るために、モデルさんの内面を見たがるのです。
趣味だとか、どんなものが好きだとか、すごく興味を持ちます。」

  「絵は批判をすると、線も硬くなって描けなくなりますね。
モデルさんも同じ。気持ちをやわらかくして,一緒になって、
みんなで楽しんで明るい雰囲気を作る事が大事。」

「視点を変えるということ」

この記事を書くにあたって、
いろんな学校やクロッキー会、絵画教室でお世話になる「美術モデル」なのに、
「RBR」というひとつの教室だけを取り上げて、
かたよった宣伝をしているように見られないかという心配はあった。
クリスティン先生がディレクターを勤めているということで、
そう思われるのも仕方がないかもしれない。

だが、今回この記事で伝えたかったことは、
『刺激』である。
そして伝えたいメイン・ターゲットは今回に限っては『作家の皆さん』である。

モデルを立たせて、ただその形を必死に追う作業もいいかもしれない。
ただ、時には視点を変えて
「見えていなかったものを、見る努力」をしてみるのもいい刺激になるのではないだろうか。
モデルの体だけをみるのではなく、
その周りにある、空間やモノ、空気や個性。
モデルがいるからモデル中心に描かなくてはいけないわけでもない。

「知的障害を抱えた人達がモデルを目の前にしても、人は描かれていないことがあります。
 でも、出来た作品にはモデルさんの影響が必ず反映されています。
 だから、モデルを見ていないと思わないで。この人たちにはちゃんと意味があるんです。」

以前、福祉ボランティアの方にもこう教わったのを思い出した。



RBRのレッスン風景は、生徒さんが「自分で考えて工夫をする」ように、
まさに能力を引き出していると言った感じ。
その教育方法は個性豊かでバラエティに富んだ生徒さんの作品群に表れている。

「海外のモデル・日本のモデル」

(これは是非、聞かなくてはいけない!)

「日本のモデルさんはみんな(体が)すごくスマートですね。
アメリカのモデルさんは、すごーく大きなモデルさん、
70歳のモデルさん、人種も色々います。個性がすごいです。」

クリスティン先生曰く、
スバリ、「日本のモデルはつまらない」。

みんなきれい、みんな細くて若くて。
それは当然、作家さんに影響する。
「若くてきれいなモデルしか描けない日本の画家は可哀想。」
とまで言われてしまった。

日本の描き手さんはどうだろう?
もし、クリスティン先生と同じ事を感じているのであれば、
日本の美術モデル業界は作家さんに対してニーズが合っていないことになる。
「描くことへのコンプレックスを無くしてあげたい。」

----------これからやりたいことは?

アーティストとしては18歳の時から始めたステンドグラス。
今でも新しい作品に取り掛かる時には、
「チャレンジすることが楽しみ」なのだそうだ。

かつては、自信が無かった人体制作も、今では大好き。
「人の顔は面白くて!今は、本当にもっともっと描きたいですねー。」
そう語るクリスティン先生の顔には、
まさに「わくわく!」がいっぱい。

「RBR」の仕事の中で今一番やりやいことは、
「描くことへのコンプレックスを持っている人の傷を癒してあげたい。」こと

絵が描けたらいいなぁ、という憧れは誰でも持っている。
語学やスポーツと同じように、絵が描けることで
自分の人生に広がりを持てるのではないかと思う人はたくさんいるだろう。
だが、クリスティン先生によると、
絵が描く事を敬遠する大人の中には、
子供の頃に心無い言葉で、「絵を批判された」経験を持つ人も少なくないのだとか。
そういう人の心の傷を治してあげたいのだそうだ。

クリスティン先生は、モチーフに関する頭の中にある情報を一度忘れて、
素直に表現していくという手法を教授する。
右脳を使うことにより、「誰にでも才能はある」という事に、気がついて欲しい。
変なコンプレックスはいらないのだから、
表現する楽しさというエッセンスを自分の中取り入れて、
たくさんの人が人生をエンジョイして欲しいと願っている。

かつて、「人体を描くことに自信がなかった」クリスティン先生ご自身が、
数々のワークショップで勉強をし、右脳のひらめきで得た「自信」を
みんなにも共有して欲しいのだと私は思った。

クリスティン先生のドローイング
ステンドグラスにも人体制作からのインスピレーションが影響するという。
質感が感じられるいい作品です。

「音楽もダンスもアートには欠かせない」


RBRにはアートだけではなく、音楽もヨガもダンスもある。
クリスティン先生曰く、それは全てアートに関係してくるという。

「そもそも、子供の頃の学校の勉強に優先順位があるのがおかしいのです。
 数学や語学が一番、音楽や美術は「趣味」みたいな。
 数学と音楽はとても密接だし、
 芸術をつかさどる右脳を使うことで、数学やそのほかの勉強にも
 大いに影響がでてくるのです。」

 絵を描くことも、「慣れればうまくなりますよ。」じゃなくて、
 人生をとりまく全てのことを考えて、自分に取り入れることで、
 美術も音楽もビジネスも、もっとバランスよくできるはず。


「モデルさんにもこれは言えますねー。」

右と左の脳をバランス良く使うことで、
表現のひらめきはもっともっと増えてくるのだそうだ。
美術モデルさんの為のワークショップ、素敵です!是非やってみて!と
おしゃっていただいた。

「誰でも2,3歳のことは絵を描くのが大好きだったはず。
 何を見ても感動して、想像も強くなって、それを伝え表すことを怖がったりしない。
 だから、みんなもう一度描いてみて、生き生きしてくるから。」

クリスティン先生は、人間として生まれたからには、
誰もが持っている「欲求」のひとつ、「表現する」という事を思い出すことで、
たくさんの人が充実した人生が送れることを願っている。

取材を終えて。

クリスティン先生はとにかく教えるのが上手!
この取材企画は「ProfilingArtists」だから、アーティストとしての「クリスティン・ニュートン」を
クローズアップしなきゃいけないのに、
その物腰の柔らかさと、常に絶やさない笑顔は、
人見知りをしがちな私でもついつい甘えてしまいたくなる
「やさしい先生」なのだ。

そして一方で「与える人」でもある。
ご自分が今までアーティストとしてだけではなく、人間として得た経験や感動を、
日本という異国の地に来てまで、惜しみなく伝えようとしている。

「人生を充実させる達人」でもあるクリスティン先生は、
いつも、悶々として眉間にシワを寄せている私にとっては、
とてもうらやましく、憧れる将来像のひとつとなった。

気がつけば世界を又に駆けて活躍をされているすごい方なのに、
取材のお願いについても
「Great !日本にいいモデルが増えるなら!」と
お忙しい時間の中、快く承諾してくださいました。

よしよし。
私もこういう懐の大きな人間にならなきゃね!

 

「RBR」の建物は、入ってすぐの高い天井も、明るいバイリンガルな空気もとても刺激的。
体験レッスンも行っていますので、マンネリ打破に悩んでいる方いかがでしょう?
                            2005年6月28日    記事執筆NATU
”記事情報
* クリスティン先生がクリエイティブ・ディレクターを務める「RBR」はこちら。
「RBR」http://www.rbr-art.com/  
* クリスティン先生のステンドグラスの作品群が見られるページはこちら。
 (作品は、日本の公共施設・企業ビルなどにも収められています。
  お近くの方は是非、本物を観に足を運んで見てください。)
「Kristin-Newton」http://www2.gol.com/users/kristin-newton/
【ProfilingArtists 】

第1回 「sanoma」さん
第2回 「福地孝宏」さん
第3回 「すず」さん
第4回 「クリスティン」さん

 次回の「Profiling Artists」第5回は神奈川のyamadamaさんです。(できあがり次第アップ予定!)



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